生活習慣病とは

生活習慣病のイメージ写真

生活習慣病は、食事、運動、睡眠、飲酒、喫煙などの生活習慣が影響して発症する疾患の総称です。代表的な疾患として、糖尿病、脂質異常症、高血圧症などがあります。これらの疾患は、日常生活を見直し、改善することで予防や治療が可能です。健康的な生活を心がけることで、病気のリスクを減らすことができます。

高血圧症

病態生理

高血圧は、血液が血管の壁にかける圧力が常に高い状態が続く病気です。心臓が血液を全身に送り出す際にかかる圧力が高くなると、血管や心臓に負担がかかり、動脈硬化や心臓病、脳卒中のリスクが高まります。血圧が140/90 mmHg以上(診察室での測定)または135/85 mmHg以上(自宅での測定)の場合、高血圧と診断されます。

診断方法

血圧測定

診察室での血圧測定と自宅での血圧記録を基に診断します。自宅での血圧測定は、血圧手帳に記録し、定期受診時にご持参いただくようお願いします。

治療方法

食事療法

減塩

塩分の摂取量を減らすことで血圧を下げます。調味料は控えめにし、加工食品や外食の塩分にも注意が必要です。

バランスの取れた食事

野菜や果物を多く取り入れ、脂肪分の少ない食材を選びます。特に、カリウムが豊富な食品(バナナ、ほうれん草など)を摂取することで、血圧の改善が期待できます。

適量の食事

食事の量を適切に保ち、過食を避けることが重要です。適量の食事を心がけることで、体重管理や血圧のコントロールに役立ちます。

健康的な脂肪の摂取

飽和脂肪(バター、ラードなど)の摂取を控え、不飽和脂肪(魚油、植物油など)を適量摂取することが推奨されます。特にオメガ-3脂肪酸を含む食品(青魚、亜麻仁油など)は、血圧を下げる効果があります。

適度なアルコール摂取

アルコールの過剰摂取は血圧を上昇させるため、適量に留めることが重要です。

運動療法

定期的な運動が血圧のコントロールに役立ちます。ウォーキングや軽いジョギングなど、無理のない範囲で続けることが推奨されます。

薬物療法

必要に応じて、降圧剤を使用して血圧をコントロールします。

定期的なフォローアップ

血圧の定期的なチェックと治療の効果確認が重要です。定期受診時に血圧測定の結果を確認し、必要な調整を行います。

脂質異常症(高脂血症)

病態生理

脂質異常症は、血液中のコレステロールや中性脂肪が異常に高くなる状態です。コレステロールや中性脂肪が血管の壁に蓄積すると、動脈硬化が進み、心臓病や脳卒中のリスクが高まります。脂質異常症は、空腹時の血液検査で診断されます。

診断方法

血液検査

空腹時に血液を採取し、コレステロール量やコレステロールの種類(LDL、HDL)、中性脂肪の値を測定します。

治療方法

食事療法

バランスの取れた食事

野菜や果物を多く取り、脂肪分の少ない食材を選びます。特に、食物繊維を豊富に含む食品(全粒穀物、豆類など)を摂取することが推奨されます。

健康的な脂肪の摂取

飽和脂肪(バター、ラードなど)を控え、不飽和脂肪(魚油、植物油など)を適量摂取します。オメガ-3脂肪酸を含む食品(青魚、亜麻仁油など)を積極的に取り入れます。

コレステロールの摂取制限

卵や内臓肉など、コレステロールを多く含む食品は適量に留め、過剰な摂取を避けるようにします。

減塩

食塩の摂取量を減らすことで、動脈硬化の進行を抑えます。加工食品や外食の塩分にも注意が必要です。

適切な食事の頻度

食事は規則正しく摂り、過食や間食を控えることで、体重管理や脂質のコントロールを図ります。

運動療法

定期的な運動により、血液中の脂質値を改善します。ウォーキングやジョギング、筋力トレーニングを日常的に行うことが推奨されます。

薬物療法

必要に応じて、コレステロールを下げる薬物を使用します。

定期的なフォローアップ

脂質値の定期的なチェックと治療の効果確認が重要です。定期受診時にコレステロールや中性脂肪の値を確認し、必要な調整を行います。

糖尿病

病態生理

糖尿病は、インスリンというホルモンが不足するか、正常に働かないために、血糖が上昇する病気です。インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込み、エネルギーとして利用する役割があります。インスリンが不足したり、その効果が低下すると、高血糖状態が続きます。この状態が長期間続くと、腎臓、神経、眼などに進行性の合併症を引き起こす可能性があります。

診断方法

血糖検査

空腹時血糖値、食後血糖値、またはHbA1c(ヘモグロビンA1c)を測定して診断します。HbA1cは過去2〜3ヶ月の平均血糖値を示します。

治療方法

食事療法

エネルギー摂取量の管理

糖尿病の管理には、1日の適切なエネルギー摂取量を守ることが重要です。エネルギー摂取量の目安は、「目標体重(kg)×エネルギー係数」で計算します。エネルギー係数は以下の通りです。

  • 軽い活動量(座って作業が多いなど):25~30(kcal/kg目標体重)
  • 普通の活動量(立った作業が多いなど):30~35(kcal/kg目標体重)
  • 重い活動量(力仕事が多いなど):35~(kcal/kg目標体重)
栄養バランス

食事は、エネルギーの40~60%を炭水化物、20~30%を脂質、20%までをたんぱく質から摂取するのが理想です。また、鉄、銅、亜鉛などのミネラルやビタミンも必要です。主食(全粒穀物)、魚、豆類、卵、肉、野菜、きのこ、海藻、乳製品、果物など、さまざまな食品をバランス良く摂取することが推奨されます。

食事の規則正しさ

1日3食を規則正しく摂取することが重要です。5~6時間ごとに食事を摂ることで、血糖値の安定と食べ過ぎ防止が期待できます。特に夕食は就寝の2~3時間前、22時前までに済ませることが推奨されます。欠食を避け、食事をスキップすると次の食事で血糖値が急激に上昇しやすくなるため、注意が必要です。

食物繊維の摂取

食物繊維は満腹感を助け、血糖値の急上昇を抑える働きがあります。1日20gを目標に摂取することが推奨されます。きのこ、海藻、野菜、押し麦、もち麦などは食物繊維が豊富で、糖尿病管理に適しています。

良質な脂質の摂取

魚に含まれるDHAやEPA、オリーブオイルなどの良質な脂質を摂取することが推奨されます。肉や乳製品、卵に含まれる脂質はコレステロール値を上昇させるため、注意が必要です。

間食の制限

食事以外の間食は血糖値のコントロールを難しくします。特に夕食後の間食は夜間の血糖値を上げる可能性があるため、控えることが推奨されます。

アルコールと塩分の制限

アルコールはエネルギー過剰の原因となり、塩分の摂取は高血圧のリスクを増します。アルコール摂取を控え、塩分を減らすことが重要です。

食事のポイント

食事はゆっくり噛んで食べることで満腹感が得られ、血糖値の急上昇を防ぐことができます。腹八分目を心がけ、食べ過ぎを予防しましょう。

運動療法

定期的な運動が血糖値のコントロールに役立ちます。ウォーキングやジョギング、筋力トレーニングなど、無理のない範囲での運動を週に数回行うことが推奨されます。

薬物療法

食事療法だけでは血糖値のコントロールが難しい場合、経口血糖降下薬やインスリン注射を使用します。治療の選択は個々の状態に応じて行います。

定期的なフォローアップ

血糖値の定期的なチェックと治療効果の確認が重要です。定期受診時に血糖値やHbA1cの結果を確認し、必要な調整を行います。